この春、かねてから工事が進められていた石榑トンネルが開通した。そのトンネルを利用し、滋賀県側
から旧道を登り詰めて約4年ぶりに石榑峠から竜の頂を目指した。旧道沿いにはティッシュをくくりつけた ようなタムシバが点在するが、お空はあいにくの曇天模様…。冬場と違って、三重県側から風が吹き抜け ていくところをみると、春は着実に近づいているようだ。
宇賀渓下の落合橋手前Pには3台の車が停まってが、この日石榑峠からスタートする山ヤはひとり部だ
け。ザレた花崗岩質の斜面から登山道に取り付き、記憶をたどりながらゆっくりと歩き出す。
表道で印象的なのは、スタートしてすぐの崩壊地。上部には数本のロープが垂らされているが、尾根の
滋賀県寄りの弱点を突けば、ロープに頼ることなくいとも簡単にクリアできるポイントだ。
この表道は鈴鹿の県境縦走路の一部であるため、古くから大勢の山ヤに歩かれてきた。それを証明す
るかのように掘割状になった箇所も多い。
竜と言えば5月下旬のシロヤシオばかりに目がいくけれど、この時季はアセビの花も楽しめる。入道に
は及ばないものの、あまりにも多いのでちょっぴり食傷気味(笑)
のんびりとしたペースで高度を上げていくと、竜の巨体を望むポイントに到着。う〜ん、頂上はこりゃ真っ
白ですなぁ。さっきすれ違ったソロの山ヤさんが言ってた通りだ。
重ね岩手前までくると、樹林帯を抜け笹原が広がり始める。御池や鈴北の笹は、ここ数年猛烈なスピー
ドでシダに侵食されつつあるが、竜の笹は元気そのもの。
いつものマスクのせいで、歩行スピードはまったく上がらず。それでも何とか重ね岩まで無事到着〜♪
知る人ぞ知る“デタラメ看板”は相変わらず830mのまま。地形図を見ても、高度計を見ても930mなん ですよ、ここって。これまでに何人の山ヤさんがだまされてきたことでしょう。
重ね岩を過ぎるとルートは一気に急登になるが、下界では決して味わえない幻想の世界が目を楽しま
せてくれる。踏み跡が明瞭だからいいけれど、不明瞭なバリエーションルートだと、ちょっぴり不安になり そうな景観だ。
頂上台地の一番南に位置する緩やかなピークまで登り詰めると、ガスの濃度はさらにUP。モウチ谷の
大ガレを覗き込んでも、まったく高度感を感じさせない白さだ。
誰もいない頂上に到着したのはスタートから1時間20分後のこと。最終的には標準所要時間とほぼ同
タイムで歩けたようだ。しかし、鈴鹿屈指の好展望スポットも、このガスでは単なる広場。もちろん、立派な 山座同定盤も用無し。。。
さあ、重ね岩あたりまで下ってからランチにするか。…と思って下り始めたら、周囲の景色に違和感が。
あれれ、これってヨコ谷ルートじゃん。すぐに気付いたから良かったものの、知らない人なら大幅に時間を ロスしてしまうところだ。
来た道を下る途中、こんなプレートを発見。1985年…新しそうに見えるけど、すでに26年も竜の山中
で眠っていたんですね。設置した人はまだこの世にいるんかなぁ。
重ね岩でアツアツの鍋焼きラーメンを胃に流し込んだら、あとは石榑峠まで一気に急降下。途中、小雨
がぱらつき始めたものの、本降りになるまでに無事下山完了!鈴鹿のヒルシーズン突入までは、あと1カ 月足らず。近場で山を楽しめるのもあと2回ぐらいかなぁ。。。それまでにアカヤシオだけは見ておきたい ものだ。
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