鈴鹿に春を告げる花と言えば、やっぱりフクジュソウ。今年は藤原三山のひとつ、頭陀ヶ平(ずだがひら)か
ら東に延びる坂本谷のフクジュソウを、山仲間と共に観察してきた。藤原簡易パーキングに8時に集合し 県境稜線を眺めてみると、山中は白いまだら模様。例年ならフクジュソウはそろそろ終盤戦といった時季 だが、今年はまだまだ大丈夫だろう。
頭陀ヶ平への定番ルートである木和田尾は、前半部に広がる植林帯の急登が結構厳しい。先頭を御
在所RWのオレガノさんに任せ、息を切らせながら一気に高度を上げていく。花粉症対策のマスクが無け れば、もう少し楽に登れるのになぁ。。。
この日は雲ひとつない晴天に加え、風もほとんどない絶好の登山日和。シャツ2枚でも汗ばむほどの陽
気だ。心の中では「茎が伸びきった福ちゃんばかりだったら寂しいなぁ」と、色んな光景が思い浮かぶ。
花の多さでは定評のある木和田尾だが、足元ばかりに気を取られていてはいけない。見上げればキブ
シの房がゆ〜らゆら。
子向井山ルートとの分岐点にあたる204鉄塔までくると、そこそこの展望が広がってくる。標高は350
mほど。この辺りを過ぎれば、ようやくうっそうとした植林帯ともお別れだ。
葉を落とした二次林帯まで来ると、足取りもかなり軽やかになる。尾根が広がる場所では踏み跡も乱れ
るものの、よ〜く見れば樹木には赤ペンキも多い。
お〜、4月だというのにまだセツブンソウがけな気に咲き残っているじゃないですか!絶妙な弧を描く茎
は、落ち葉を避けて成長した証拠かな。周囲を探すと結構な個体数。こうなると一眼レフ使いのCちゃん のテンションも一気にUP!
セツブンソウの群生地を過ぎると、少しずつ残雪も多くなってきた。それに気を取られて雪遊びをしてい
たら…あれれ、ルート外しちゃったよ(笑)。地形図を見ると、現在地はL203鉄塔の1番と2番の中間あ たり。まあいいや、徐々に正規ルートに近寄っていけば。
歩きやすい場所を選びながら適当に進んでいくと、思いがけない出会いが待っていたので思わずパシ
ャ!今シーズン初のミスミソウは、6枚モノのとってもシンプルな個体だった。
上の写真は白船峠との分岐点。このまま高みに向かえば頭陀ヶ平まで約1時間の行程だ。しかし、今
回の目的はあくまでもお花見。頭陀のピークハントはあっさりとあきらめ、坂本谷源頭部からフクジュソウ の待つ秘密の花園(ちょっと大げさかな:笑)へと靴先を向ける。
石灰岩主体のいらやしい斜面をトラバースしながら、福ちゃん天国へ向かうとジャジャ〜ン!う〜ん、な
かなかいいタイミングで来たようだ。足の踏み場を見極めないと、大切な花を踏んづけてしまいそうなほど の咲き具合だ。HPに掲載するだけなら数枚撮れば事足りるけれど、オレガノさんやCちゃんの撮影意欲 に釣られ、思わず何枚も写真に収めてしまうほどだ。
今回は雪から露出したエリアを中心に偵察したけれど、まだまだ雪を被ったエリアも多い。根気よく探せ
ば、雪の中から顔を出す福ちゃんも十分に狙える状況だ。この調子だと、今年の坂本谷は4月第2週の 土日が一番美味しい時季かも。
目いっぱい福ちゃんを愛でたあとは、坂本谷の左岸をトラバースしながらR200鉄塔方面へと向かう。
ここからR201鉄塔までは起伏も穏やかで、とても気持ちよく歩ける。
子向井山手前の熊棚を思わせる不思議なオブジェは、今年も健在。そんなオブジェを前にして、常に笑
いを求めるオレガノさんは「ファイト〜、いっぱ〜つ!」。
行きに取った巡視路ルートと違い、下山は子向井山ルートを採用。こちらは常緑樹が多いのが特徴だ
が、巡視路同様に花も多い。こちらで見つけたミスミソウはとってもゴージャスな12枚モノ。とはいえ、花 のサイズは2センチほどなので、ピント合わせはかなり厳しい。
ミスミソウほどの感激はなくとも、ミヤマカタバミに出会えるのもうれしい限りだ。下山して数時間は、くし
ゃみや鼻水との闘いが待ち構えているのが分かっている。それでも「やっぱり山を歩いて良かった」…そ う思わせてくれる素敵な山行だった。
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