今年の寒波は前半こそおとなしいものだったが、1月になってからは鈴鹿の山に次々と雪をもたらしてく
れる。中でも1月中旬のスーパー大寒波は、鈴鹿主稜線にはとても手を付けられないような大雪を供給し てくれた。
そこで今回は、ヨコ谷の大ガレを真っ白な雪で埋め尽くした竜ヶ岳を間近で眺めようと、竜の前衛峰・砂
山を目指した。その標高はたかだか500m弱。かつて三岐鉄道が整備したハイキングコースが縦横無 尽に延びる“なんちゃって登山”には最適な山なのだが。。。
宇賀渓の少し下・落合橋の無料駐車場に着いたのは9時少し前。さて、寒いし車の中で準備するか…し
かし、雪山登山に必要とされるものが無い!どうやらグローブとスパッツを自宅の玄関に置き忘れてきた ようだ。スパッツはともかく、グローブ無しではさすがに厳しすぎるので、近くのコンビニへ(泣)
ちゃっちいグローブ代1000円と数十分をロスして歩きだしたが、駐車場付近でも雪は40cm近く降り
積もっていた。
この日、宇賀渓から竜方面へ向かったのは、単独行さんだだ一人だったようで、真新しいトレースがホ
タガ谷方面へと続いている。有料駐車場付近には売店の人たちのものか、ウロウロとした足跡があちこ ちに残されている。
しかし、砂山への取り付き点にあたる北谷キャンプ場に入ると、そこはバターナイフでならしたような白
い雪が広がるだけで、足跡はまったくナシ。普段ならとってもうれしい光景だけど、雪はすでにハイカット の登山靴のすき間から靴の内部に侵入しようとしている。う〜ん、困ったなぁ。。。
北谷キャンプ場から山腹を巻きながら高度を上げていく部分は、本来は階段道のはず。階段の凸部に
うまく足が乗れば雪の侵入は何とか防げるが、大半はズボッ。少し湿気がありながら、締まりきっていな い雪のため、一歩一歩がなかなか厳しい。
案内プレート「No.194」が建つ砂山尾根の稜線に北側から這い上がり、展望ベンチに腰かけて時間をチ
ェックしてみると、すでにスタートから50分以上も経過していた。歩行距離にして700〜800m、標高も2 00m強しか稼いでいないのに…。こんなことなら、スノーシュー持ってこればヨカッタ。“後悔先に立たず” とは、まさにこのことですなぁ。
しかし展望ベンチで小休止した後は、少しばかりうれしいトレースが待ち受けていた。雪の崩れ方からす
ると、おそらく昨日登竜荘方面から詰め上げてきたものだが、これが有ると無いのでは雲泥の差。特にス パッツが無い状態では、泣けるほどうれしい(笑)
ただ、気がかりなのは雲行き。さっきまでの青空はどこへ???まさか、このまま崩れていくなんてこと
ないよなぁ。
う〜ん、いやな予感は見事的中してしまったようだ。展望の良い岩稜帯に出ると、小雪混じりの暴風が
吹き荒れている。右手前方には竜の遠足尾根がかろうじて見えてはいるけれど。。。
おっ、日差しの復活か!と思ったら、今度は真新しい倒木が行く手をふさいでくれている。ヤセ尾根なの
に、どうやって突破しよう。まあ、それを考えながら進むのも面白いんだけどね。
時折ひざ上までズッポリとはまり込みながらも、砂山ピーク手前の展望地に到着。左後方には、三池岳
から八風キャンプ場方面へと延びる東尾根が見えている。樹氷は無さそうだが、ガレ場の様子を見る限 り、あちらの雪はさらに深そう。
結局、砂山に到着したのはスタートから1時間48分も後のこと。情けないことに無雪期の約1.5倍のコ
ースタイムだ。竜の雄姿はほとんど見えないし、雪がいっぱい詰まった靴の中は冷たさも倍増。この先、 稜線を進めばP628に展望地もあるけど、トレースも無いし撤収したほうがよさそうだ。
行きは北谷キャンプ場から登り詰めたが、下山は少しでも早く雪から離れたくて、国道421号に出られ
る登竜荘ルートに決定。雪の量はほとんど変わらないが、ツボ足でも下山はやっぱり楽!少し歩幅を大 きくして滑るように一気に下る。
途中、東屋のある休憩スポットからいなべの町並みを見下ろしてみると…う〜ん、まだまだ白いですね。
一方、遠足尾根の末端部に広がるスギの植林帯はというと…あれれ、もう花粉飛散の準備が整っている じゃないの?その茶色さって。
下山時は、相変わらず写真枚数は少なめ(笑)。上の写真は国民宿舎・登竜荘だが、石榑トンネルの影
響か宿舎前の道路で大工事が行なわれている。
こちらは登竜荘〜落合橋間で撮影した国道421号沿いの積雪状況。ストックはジャスト110cmにして
いるが、標高300mほどでこれほどの雪をもたらすなんて、なかなか今年の寒波はやりますな〜。
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